月花凪(TukikaNagi)

冷蔵庫の中を見て献立を立てる主婦の思考

イノベーションのジレンマ / カメラ業界を例に

 

ブログ移行しました。

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今回はイノベーションのジレンマについて調べたので書いていきます。

 

イノベーションのジレンマとは

既存の商品の優れた特色を改良し続けると、同じ基準で評価をしてくれる顧客のニーズに応える事ができる。しかし、その技術で評価され、市場を拡大してきた大企業は、その技術で評価し続けてくれる顧客を繋ぎ止めることに注力してしまい別の顧客のニーズに目が届かなくなってしまう。

既存の技術が進歩すればするほど新規参入は難しくなってくるが、ここで先に述べた別の顧客のニーズを満たす技術を開発することができれば新たな市場を開拓できる。さらに、既存の顧客のニーズも同時に満たす程技術が進歩すれば大企業が独占していた市場を奪うことができる。

顧客を繋ぎ止めたい大企業が新技術開発をした新興企業に遅れをとることをイノベーションのジレンマと呼ぶ。この理論は1997年にクレイトン・クリステンセンが提唱した。

 

持続的技術と破壊的技術

持続的技術(持続的イノベーション)

従来の評価基準で評価されてきた技術

 

破壊的技術(破壊的イノベーション)

従来製品とは全く違う価値を生み出していく技術

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持続的技術を伸ばし続けた結果、ある点で顧客のニーズを超える技術が完成してしまう。その後、1つのニーズを満たされた顧客の視線は別のところに向き、新たなニーズが発生する。そこで初めて破壊的技術が注目されるようになり、破壊的技術の進歩と顧客のニーズが一致したところで既存の市場の破壊が起こる。

そしてこの破壊は繰り返す。破壊的技術だったものが持続的技術になり、また新たな破壊的技術が発生し市場の破壊が起こる。

これを繰り返してきた。

現時点で何も注目されていない、無駄な技術、使い物にならないと言われている技術は沢山ある。これらは全て破壊的技術になり得るものだということを覚えておきたい。

だから自分は無駄な技術、使い道がないなんてことは言えない

 

 

身の回りで発生したイノベーションのジレンマ

私は、一眼レフカメラやfilmカメラで写真を撮ることを趣味としているため、身の回りにある技術や製品は何かと聞かれると最初にカメラを想像します。


レンズ交換式カメラを大まかに分類すると、古くからあるミラー付きのものと、近年主流になりつつあるミラーレスカメラがあります。

この二つの違いとして、重さや大きさ、シャッター音、ファインダーの見え方が挙げられる。カメラを選ぶときに比べる点は、画質、連射速度、耐久性などがある。これらの違いと性能を持続的技術と破壊的技術に分けて考えてみる。


持続的技術(従来からの基準で評価される技術)
・画質
・連射速度
・耐久性


破壊的技術(違う基準で評価される新技術)
・小型軽量化
スマホと接続
・タッチパネル


レンズ交換式カメラは、マスコミなどプロ向けに進化してきた。テレビや新聞に掲載することを目的としているため高画質が求められ、スポーツ撮影では、決定的瞬間を逃さないために連射速度やAF(オートフォーカス)速度の向上、野生動物撮影では過酷な環境でも壊れない耐久性が求められてきました。

これらの要求を全て満たす製品は「大きい、重い、値段が高い」という弊害も…

 

この弊害が生まれたとしても高画質で高速連射が可能であり壊れにくいというニーズには応えているから売れ続ける。

 

ミラーレスカメラが2008年に登場し、ミラーがないことで大幅に小型、薄型化を実現しましたが、常にセンサーを動作させるため発熱し、熱ノイズによる画質の低下が問題でした。

さらに、小型軽量化を実現したことで衝撃に弱く、撮影と画面に表示するセンサーを兼用しているため撮影画像を読みだしている間のブラックアウト(ファインダー像を表示できない時間)が長くなってしまった。

ミラー付きのカメラの場合、画像を読みだしている間でもミラーに写った像を見ることができるのでブラックアウトの時間はほぼありませんでした。

従来の顧客から求められている持続的技術(連射性能)を損なってしまった魅力の無い製品だといえます。


SNSの発達によりだれでも気軽に日常風景の写真を投稿することができるようになった。

特に写真共有をメインの機能としたInstagramの登場によって気軽に写真を投稿する流れが加速し、スマートフォンやコンパクトデジカメよりも綺麗な写真を載せたいと考える人が増えてきました。

SNS投稿を目的とした人達の求めることは、スマートフォンやパソコンの画面で見る程度の画質であって、テレビや新聞の大きさへ拡大できる画質は必要ない

また、気軽にカメラを持ち歩くことの枷になるのは重さと大きさで、過酷な環境に行くわけではないので耐久性は落ちても小型軽量が求められる。新規の顧客の要求は従来の顧客に評価されなかったもので満たすことができる。

実際にミラーレスカメラの登場で新規参入が起き、従来のカメラ路線を保つメーカの売り上げが減少しました。

技術の進歩により小型軽量を保ったまま従来の顧客(プロカメラマン)の要求にも応える高画質モデルが登場し、デジタルカメラ市場は一眼レフカメラからミラーレスカメラに変わろうとしています。

NikonCanonといった一眼レフカメラ市場を独占していた企業がミラーレス市場の参入に遅れを取り、SONYOLYMPUSFUJIFILM一眼レフカメラ市場では目立たなかったがミラーレス市場ではリードしている。(オリンパスはカメラ事業から撤退しました)

持続的技術が破壊的技術によって市場が奪われている光景を実際に確認することができました。

 

今、役に立たない、魅力がないと思われている技術が数年後にはどうなっているかわからない。使えないまま消えてしまうかもしれないし、社会の多くの場所・分野で必須になっているかもしれない

新しい技術がどのように進化し、それがどの程度社会に必要になるのかを予測えきるようになりたい

 

 

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