月花凪(TukikaNagi)

冷蔵庫の中を見て献立を立てる主婦の思考

【人工太陽】日本の現状から次世代発電方法を考える 核融合発電

今回は日本の発電事情を見直し、将来的にどのような発電方法が望ましいか考えていきます
 
 発電方法は様々な種類があってどれがいいのかよく分からないですよね。持続可能なエネルギーとか言われると太陽光や風力が理想だと思ってしまうことも…画像1

日本の現状

日本は発電に使用する燃料の自給率(エネルギー自給率)が低く、大部分を輸入に頼るしかありません。しかし、化石燃料天然ガスは無限に湧き出てくるものではなく有限であり、将来的に発電方法を切り替えていく必要があります。さらに、化石燃料天然ガスによる発電は、燃焼の際に環境汚染物質を排出します。これらのことを踏まえ、持続可能であり地球環境に負荷が少ない発電方法を模索していかなければいけません。 

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出典:経済産業省 資源エネルギー庁 2020—日本が抱えているエネルギー問題(前編)https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/energyissue2020_1.html

現状の課題

原子力発電(核分裂反応を利用)は持続可能で発電効率も良いが、安全性を考えると減らしていく必要があります。もし事故が起きてしまったときに、中に入って作業をすることができるロボットの開発が難航しています。放射線による誤作動を防ぐことが難しい…
福島第一原発事故以来稼働停止しているところが多いのが現状です。
 

自然エネルギーを利用した発電方法

持続可能な自然エネルギーを利用した発電方法には、代表的なものに太陽光、風力、水力があります。

これらの発電方法は自然に左右されてしまうので安定して電力供給できず従来の火力発電などと比べ発電コストが高くなるという問題点があります。また、土地さえあればどこにでも建設できるわけではありません。

特に日本は、広い平野がないため太陽光パネル風力発電装置を大量に設置することができず、また、川は山から出てきてすぐに海に流れてしまうため水量が少ないことから大規模な水力発電所を建設することもできません。

大規模な発電設備を作らないと火力発電から完全に移行するということはできませんが、小規模発電所を各地に建設すれば災害や天候によるリスクも分散でき、安定供給できるかもしれません。

しかし、小規模発電所を多数建設するためには莫大なコストがかかります。さらに、太陽光発電所建設の際に森林伐採をし、日照時間を確保するために周囲に植物が生えてこないようにする必要があるため、自然エネルギーを使っているからといって環境への負荷が少ないとは一概に言えないことにも注意しないといけないです。

 

次世代エネルギー

自然エネルギーを利用した発電を検討したときに出てきた問題を考慮すると、理想の発電システムに求められることは、持続可能で地球環境への負荷が少ないことに加え、安定して電力を供給でき、発電所の規模が従来の施設と同等またはそれ以下であることだと分かりますね。その結果、今後開発を期待したい発電方法に核融合発電というものがあります。

核融合発電,人工太陽

核融合発電は2025年に運転を目指し、2050年代までに実用化に向けて研究されている新しい発電方法で、現在ITER(国際熱核融合実験炉)という世界的プロジェクトがあります。核融合発電は、核融合という太陽で起きている反応と同じ反応を人工的に作りだします。小さな太陽を閉じ込め発電に利用するイメージです。核融合発電では、水素の同位体である重水素三重水素(トリチウム)を使い核融合によってヘリウムと中性子が発生する過程で生じるエネルギーを利用します。

“燃料の重水素は水を電気分解することで得ることができ、実質的に無尽蔵。もう一つの燃料である三重水素トリチウム)は自然環境から採取されているが、核融合炉の中で人工的に作ることが可能とされており、サプライチェーンの面からも懸念はない。”(地上に太陽を作り出す!? 夢のエネルギー・核融合の最前線‐Toshiba Clip 世の中×TOSIBAのトレンドを紹介 2019/9/18)


核融合発電は持続可能であり、輸入に頼ることなく発電することができる。
燃料1gで石油8tを燃やした時と同等のエネルギーを生みだすことができるので発電効率が高いです。

核融合発電の安全性

原子力発電は、原子炉の中で核分裂反応が連鎖的に起こるため、あらかじめ数年分の燃料を入れておき、暴走しないよう制御しながら運転をしていく必要があります。核融合発電の場合燃料は、核融合反応を持続させるために必要な量だけで、供給を止めればすぐに反応は止まります核分裂のような連鎖的な反応は起こらないため核融合発電は、原理的に暴走が起きず安全性が高いといえます。さらに、原子力発電で発生するような高レベル放射性廃棄物は出てこず、発電時に環境汚染物質も排出しません。(低レベル放射性廃棄物は出ます。融合炉自体が放射性廃棄物です)

まとめ

核融合発電は、前述した持続可能で地球環境への負荷が少なく、安定して電力を供給できるという条件を兼ね備えています。まだ研究段階で、プラズマの閉じ込め方法など多くの課題もあり実用に至っていませんが、実用化されれば火力発電に代わり日本の発電の主流になり得る発電方法ですね。

最近、中国で核融合研究装置が完成し稼働したので実現に向け大きく進展しました。核融合発電の実現に向け研究を推進していくと同時に「核」という言葉に対する悪いイメージを払拭しなければいけません。日本では、福島第一原発事故の影響もあり、”原子力”,“核”といった言葉に恐怖を感じる人が少なくありません。今までの原子力発電、核分裂とは違うものだということがひろがり、正しい知識を学んでいきたいですね

まだ日本に建設されていませんが、建設されるとなれば原子力、核という言葉のイメージで反発されることは目に見えているので今から気が重いです。

 

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